運動をするとメンタルヘルスも改善する月の利用上限なし /【マネーフォワード ビジネスカード(個人事業主)】

 ウォーキングや筋トレなどの運動を行うと、血糖値や血圧が改善する。習慣として続けると、心血管疾患、脳卒中2型糖尿病、肥満、腎臓病、がんなどによる死亡リスクが減少することが知られている。
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 運動がもたらすメリットはそれだけではなく、メンタルヘルスにも良い影響があらわれる。逆に、運動不足はメンタルヘルスを悪化させる要因になる。

 米国の約120万人を対象にした調査で、運動はメンタルに良い効果をもたらしていることが明らかになった。運動をしている人は、運動をしていない人に比べ、気分が優れないと感じる日数が、月に約1.5日少なくなるという。

 「うつ病は世界でメンタル障害の主要な原因になっています。大規模な健康キャンペーンにより、メンタルヘルスを改善する方法を早急に見つける必要があります」と、イェール大学精神医学部のアダム チェクラウド氏は言う。
運動をしないでいると気分が晴れない日が増える
 研究は、米国のイェール大学と英国のオックスフォード大学などが共同で行ったもの。米国内に住む18歳以上の成人約120万人を対象に大規模な調査を行った。

 研究チームは、米国疾病予防管理センター(CDC)が管理する2011・2013・2015年の統計データから、18歳以上の成人123万7,194人のデータを解析。

 ウォーキング、サイクリング、ランニング、スポーツジムでの筋トレ、スキー、釣りなどの運動から、育児、家事、芝刈りといった身体活動まで、あらゆる種類の運動について調査した。

 その結果、運動を習慣として続けている人は、運動をしていない人に比べ、1ヵ月間に気分が優れないと感じる日数が、平均して1.49日(43.2%)少なかった。

 運動の効果は、うつ病と診断されたことのある人でとくに大きく、気分が優れないと感じる日数は、3.75日(34.5%)少なくなった。

 一方で、月に2回しか運動しない人では、気分が優れないと感じる日数が1ヵ月間に2.3日多かった。

 運動を行っている人は、行っていない人に比べ、年収が200万円以上少なくても、心理的な幸福感は同じレベルになることも分かった。
45分間の運動を週3〜5回行うと効果が最大に運動の量は多ければ良いというものではなく、運動による利益が最大になったのは、45分間の運動を週3〜5回行っている人だった。

 1日に30〜60分の運動をしている人は、メンタルヘルスが不良と感じる日がもっとも少なかった。

 一方で、運動量を増やせば良いというわけではないことも分かった。

 運動を1日3時間以上行っている人や、運動を月に23日以上行っている人は、運動をやり過ぎていて、まったく運動しない人に比べ、メンタルヘルスはむしろ悪化しやすい傾向がみられた。

 「運動は、年齢、人種、性別、世帯収入、教育レベルに関係なく、メンタルヘルスを全体的に改善します。個々に合った運動の種類や、行う頻度、時間などを早く見つけることが大切です。メンタルヘルスの改善に役立つ個別化された運動レジメンが必要とされています」と、チェクラウド氏は言う。

 グループで運動をしている人では、とくにメンタルヘルスが良好である傾向もみられた。

 「チームスポーツがメンタルヘルスの負担の減少と関係があるというのが、今回の研究の発見の1つです。社会的活動により回復力が促され、社会的な引きこもりや孤立を減らせます。スポーツを社会的に実施することで、うつ病を減らせる可能性があります」。
ウォーキングだけでなく、ヨガやピラティスも効果がある
 米国立精神衛生研究所によると、うつ病の症状には、絶望感、イライラ感、疲労感、集中力の低下、自殺念慮などがある。

 米国のラトガース大学が、うつ病の若者66人を対象に行った研究では、週3回の運動に8週間取り組んでもらった。

 「薬物療法認知行動療法で十分に効果を得られなかった患者でも、運動によりうつ病の症状が改善することが多くみられます」と、同大学芸術科学部キネシオロジー・保健科のブランドン オルダーマン氏は言う。

 うつ病の症状は、ウォーキングなどの有酸素運動に取り組んだグループで55%減少した。

 それだけでなく、ヨガやピラティス太極拳といったストレッチング主体の、マインドフルな運動に取り組んだグループでも31%減少した。
たった25分のウォーキングで、気分が良くなり、ストレスが減る
 「運動はメンタルヘルスに多大な利益をもたらすのは確かなことです。運動をしている人は不安や抑うつの症状が少なく、ストレスや怒りのレベルも抑えられることを示した報告は多いのです」と、米国の南メソジスト大学の不安治療プログラムのディレクターであるジャスパー スミッツ氏は言う。
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 運動は、脳の神経伝達物質系に好ましい影響を与え、うつ病や不安障害のあるの患者が肯定的な行動を取り戻すのに役立つ。しかも、抗うつ薬の副作用のようなものはない。

 「たった25分のウォーキングによって、気分が良くなり、ストレスが減り、より多くのエネルギーを得られます。気持ちが晴れない憂うつな気分になっているときこそ、運動をするべきです」と、スミッツ氏は強調する。

 「保健指導や生活指導に携わる医療スタッフは、ご自分が運動療法の訓練を受け、運動について教えることができるようになれば、患者の健康状態はさらに良くなるでしょう」。

 運動療法を処方する医療従事者は、毎日のスケジュール、問題解決のための戦略、運動療法のガイドで取り上げられている目標設定など、成功に導くために必要なツールを患者に提供する必要があると、スミッツ氏は指摘している。

 通院して治療を受けている患者は、病状が進行していると、運動が制限される場合があるが、それでも可能な範囲で、毎日の生活の中に積極的に運動を取り入れることが望ましい。

 主治医と話して、どのような運動をどれだけ行うと良いか、相談してみよう。