食事療法は、糖尿病治療と基本的な考え方の仕組み

食事療法は、糖尿病治療の基本です。

糖尿病は、すい臓からのインスリンの分泌や働きが悪くなったり(2型糖尿病)、インスリンをつくりだす細胞が壊れてインスリンが分泌できなくなる(1型糖尿病)病気です。食事からとったブドウ糖が、インスリンが減ったり、働きが悪くなったために体内でうまく利用できなくなり、血液中にブドウ糖がたまって高血糖が起こるのです。高血糖をそのままほうってほくと、体にさまざまな異常や合併症が起こります。

そこで、2型糖尿病の人は、食事として体内に入ってくるブドウ糖の量を制限する食事療法を行うことで、弱っているすい臓の負担を軽くして、すい臓の機能を回復させます。1型糖尿病の人は、体の外からインスリンの補給をしますので、補給の調節をしやすくするために食事療法を行います。

1型も2型も食事をきちんと制限しておかないと、血糖コントロールが上手にできないばかりか、ほかの治療を行ってもなかなか効果が上がりません。

f:id:MASAKIKINNG:20230113214609j:image
食事療法の基本的な考え方は、必要以上のカロリーをとらないようにし、すい臓の負担を軽くして働きを回復させたり、インスリンの補給による血糖コントロールを行いやすくすることです。そのため、適切なカロリーの範囲内で、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよくとることが大切です。

糖尿病患者さんが食事からとる適切なエネルギー摂取量は、年齢や性別、身体の大きさ、運動量によって、1人ひとり異なります。医師や医療スタッフは、こうした違いを考慮したうえで、その患者さんに合ったエネルギー摂取量(指示エネルギー量といいます)を決めます。自分に合った指示エネルギー量は、医師や医療スタッフから、食事療法を始めるときの手引きなどと一緒に「食事指示票(食事指導票)」としてわたされます。

f:id:MASAKIKINNG:20230113214622j:image
食事療法では、食べてはいけない食品はあまりありません。大切なことは、決められた指示エネルギー量の範囲内で、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を過不足なくとることです。決められた1日のカロリーの50~60%を炭水化物からとり、タンパク質は20%までとして、残りを脂質でとります。

ところが、指示エネルギー量を示されても、具体的にどのような食品がどのような栄養素を含んでいるのか、わかりません。そこで使われるのが、「食品交換表」です。

「食品交換表」とは、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン・ミネラルなどのそれぞれの栄養をおもに含んだ食品を6種類に分類したものです。食品が含むエネルギー量80kcalを1単位と決めて、表の同じ分類に属するなら、どの食品をとってもよい仕組みになっているので、食事の内容を多彩にすることが容易になります。